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佐保 摂子 自己紹介

見慣れた町が

2012/07/16(月) ぽつり佐保 摂子

川の水が海に流れたかったのに、満潮で海の水ものぼってきて

ぶつかって、流れ出た。

実家への電話では、「庭に流れ込むまで、あと・・10センチくらいかな」

「『避難してください』って言ってるけど・・?」

「なるようになる」と落ち着いた声。

「そうやね」と私も納得。

 

以前、海で溺れかけたことを思い出す。

波に引きずり込まれて、身体が上に向いているのか、下に向いているのかが

わからない。「もう、なるようになれ」と力を抜いた瞬間に、海面が見えた。

 

自然の力には抗えない。

自分が無力だと感じたときは

あわてず、騒がず、もがかず・・・

身を任せたら、難が遠ざかっていくこともある。

 

実家はあと数センチのところで、水は引いたけど

水門違いの友だちの家は浸かった。

途切れた道を「どの道なら通れる?」と迂回しながら

みんなたどり着いた。

第一声は「命があっただけでいい」「道が通れただけ、よかったね」

小学校以来の友だちと、「何かないと会わないし、話さないね」

「もっと、違うことで会おうよ~」と倒れた冷蔵庫を一緒に起こしながら、笑う。

遠くは、以前の職場から「お~い、大丈夫?」との電話やメールに

力をもらう。

 

目の前のがれきを、力を合わせて片づける男の人達。

文句を言う人もなく、ただ黙々と。

誰が見ても本当にひどい状態の家の人が、励まし笑わせている。

起こっている事に意味はなく、災害や事故は、人を謙虚にし

病気や別れは、優しさを取り戻す・・それだけのことかも。

 

子どもが「お母さん、帰ったら何か楽しい事をしようね」と

言ってくれる。

子どもの方が、純粋で、なんだか神さまに近い・・ 

 

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