

「用の美」という言葉をお聞きになったことはありますか?無名の職人による誠実な手仕事を「民藝」と名づけ、豊かな日本文化を残すために尽力した、思想家の柳宗悦氏が提唱した概念です。それは、実用性を目的に、職人が無心に努力を重ねた結果、美しさを宿した「かたち」が生み出されるという考え方で、ものづくりを志す私たちにとっては、大きな励ましであり教訓でもあります。わさだ工務店もこの「用の美」を体現した家を建てたいと、努力してきました。
たとえばみなさんは、日常使っている道具の中で、ずいぶん古くなっているのに捨てられず、ずっと使い続けているものはありませんか。一見何の変哲もないその道具が、何とも使いやすいとすれば、それはその道具を作った職人が、使う人の立場に立って工夫をしているからに違いありません。反対に、見た目の良さに魅かれて購入したものの、使ってみると勝手が悪く、使いづらいもの、あるいは飽きが来てしまうものなどは、使う人の立場にまで職人の想像力が及んでいないことを物語っています。
もちろん、わさだ工務店がめざしているのは前者です。長く住み続ける家を建てるのですから当然のことです。だからデザインは、出来る限り無駄な装飾を省いた「シンプル」なものになります。ただしそれは、ただ「シンプル」なのではなく、お客様の使い勝手を究極まで突き詰めた上での「飽きのこないかたち」であることを、ぜひお伝えしたいと思います。


わさだ工務店のもう一つのデザインの特徴は、木の美しさを「見せ場」として使うご提案を得意としていることです。でも、それを聞いて「木を全面に主張しているような家」を思い浮かべないでくださいね。例を挙げてご説明しましょう。
たとえば床は無垢のフローリングにし、天井の太い梁だけをアクセントに、柱を隠すようにすれば、ナチュラルな雰囲気の家になります。また、柱や梁を見せる場合でも、木の呼吸を妨げない塗料で着色したり、建具を和風でないデザインにしたりすることで、和風とはひと味違う、いわば無国籍な雰囲気を醸し出すことも可能です。
木をどの程度見せるか、またどのように見せるかによって、家の表情は多彩に変化させることができます。純和風、和モダン、ナチュラル、カントリー、洋館風など、木の家の守備範囲はかなり大きいのです。「木の家で、私のしたいデザインができるの?」とお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。


私は、小さい頃からよく父に連れられて山に入りました。樹齢100年くらいの大きな木が伐り倒されるような時には、いかつい顔のおじさんたちが「これはいい材になるぞ」と、少年のように頬を紅潮させて語り合っていたのを覚えています。
木の家をつくる楽しみは、1本1本の木が個性を持っており、材質や色、木目などを適材適所に使い分けてゆく面白さにあります。そのことを少しご説明したいと思います。
内装にひのきを使うと、すっきりとやや硬質の雰囲気に。杉を使うと柔らかくあたたかみのある雰囲気に仕上がります。針葉樹から広葉樹まで、内装には様々な木が使われますが、種類ごとに色味も肌触りも驚くほど異なり、知れば知るほどはまってしまう世界です(笑)。
伐り倒された木の断面は芯の部分が赤、周囲が白と2色に分かれています。赤い部分は「赤太(赤身)」、白い部分は「白太」と呼ばれ、それぞれに美しい色合いをしています。両方が混じり合うと「源平」と呼ばれます。風雅な呼び方ですね。
1本の木材の部位によって色が変わり、その使い分けによって部屋の雰囲気ががらりと変わるのも面白いところです。

木を製材すると年輪などが模様のようになって現れます。木目と呼ばれるものです。木目がきれいな縦縞模様として現れるのが「柾目」、山形や筍型の木目が現れるものを「板目」と言います。
柾目はすっきりとして美しく、また高樹齢で径の大きな木からしかとれないので、風格があります。しかし板目も木ごとに個性があって面白く、特に装飾性の高いものは「杢(もく)」と呼ばれて珍重されます。

節の有無によっても、内装の雰囲気はずいぶん異なります。素朴な民家風の雰囲気を出したい時にはわざと節のある木を使うのも面白いでしょう。反対に、「木」をあまり主張させず、すっきり仕上げたい時には無節のものを使います。
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